大学を定年退職してからは「CSパンダの会」の会長の振れ込みで、パンダの絵をあしらった名刺も配るものだから、元中国人留学生の中国の職場先にもそれが広まっている。客員教授の肩書きも頂いているのに加えて、筆者にとっては最後の指導学生で、無事博士号を取得した劉学軍君(同大学副教授)も帰っていることもあり、中国長春市の東北師範大学に、ほんの短期間滞在した。劉君は大学の先生の傍らITベンチャー企業を経営しており(経営者の傍ら大学の先生をしているのかも知れないけれど)、この会社に連れてゆかれた。
びっくりしたのは、筆者が知らない間にこの企業(吉林中科通信技術有限公司、張紅梅董事長)の高級顧問ということになっていて、顧問の聘書も手渡される。人民大会堂に掛けられている梅の絵を描いたという高名な画家の馮長収氏も居合わせて、筆者のために書をしたためてくれる。ついでに筆者も揮毫せよと迫られても、筆なんか握ったのは何年前のことだったかと思い出せない状況で、急な話で書く文字も定まらない。ままよと「一衣帯水」とは書いてみたけれど、破れかぶれの気持ちを表すために、パンダの絵を賛代わりにした。絵に文字の賛は分かるけれど、文字に絵の賛か。パンダの顔だと描いたのに、ああパンダの眼が、眼の向きが逆向きだ。これでは目じりを逆さに寄せて怒っているパンダだ。
筆者が大のパンダ好きと思われたか、社員一同で探してきたのではなかろうかと思われる各種パンダグッズをいただくことになった。パンダを素材にしたこれらのグッズをみていると、なかなか面白い。写真のストローにパンダの人形がついているものは子供が喜びそうである。こういう雑貨は、日本でアイディアを出しても、作る段になると中国で大量生産されるのだろう。写真の「たれパンダ」風の鬢(びん)止めなんかもあって、このデザインは日本発だろう。たれパンダの商標権(多分あるだろう)なんかは当然無視でいろいろな玩具に顔を出す。その他、パンダのぬいぐるみからはじまって、リュック、衣類へのプリントなんかもある。以前もらったネクタイピンにはパンダの顔がデザインされていて、時々使っている。何か身の周りがパンダグッズで埋まってしまいそうである。

ユニークなのは写真の親子のパンダの携帯扇風機(PocketFan)である。電池を入れると小さな羽が回って風を送ってくる。親パンダより扇風機を回す子パンダの方が一生懸命働いている。効能書きには机の上に置いてもよいし、首からぶら下げてもよいとある。工夫のきわめつけは、芳香剤がついていて、これを装填すると香りのある風が送れけれど、香りがきつくて部屋中に匂いがつきそうである。
札幌のITベンチャー企業の社長が言っていた。ハイテクは高度な技術を駆使している割には儲からない。あんなものが、と思うローテク商品でも当たれば大きな稼ぎになる。日中間パンダの画像伝送なんていうハイテクに儲けは期待できそうもないけれど、パンダグッズで当たりを取るとなんてどうだろうか。そこで、筆者もかなりまじめに考えているのだけれど、遊び心が欠如しているせいか、これと言ったものが浮かばない。